ボーイング717型機


同じボーイング717型機でも、−100型と−200型ではまったく違う機体という稀有な飛行機。



ボーイング717−100型機

1950年代初頭、ボーイングは自己資金で大型ジェット輸送機をボーイング367−80型機の名称で極秘に開発をスタートさせた。
型番にプロペラ式の空中給油機C−97のモデルナンバーである"367"をわざと冠したのは、ジェット機を開発していることを秘匿するためともいわれている。
社内では単に"−80(ダッシュ・エイティー)"と呼ばれてた。

老朽化した空中給油プロペラ機C−97の代替機として当初計画されたこの新型機は、KC−135型空中給油機として完成し、多様な派生型(電子偵察機など)が造られた。
このKC−135型機の民間機バージョンがボーイング717−100型機である。

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ボーイングKC−135A型空中給油機


  また、ボーイング367−80型機をベースに、民間航空会社向けの派生型が考案され、これがのちのベストセラー機ボーイング707型機である。
ボーイング707型機は軍用機バージョンもいくつか造られ、米国大統領専用機として活躍したVC−137型機や早期警戒管制機(AWACS)E−3型機などがある。

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ボーイング707−3B4C型機



KC−135型機とボーイング707型機は外観上よく似ているが、実は胴体幅が違っている。
KC−135型機の3.66mに対し、ボーイング707型機は3.76mと10cm広くなっており、翼幅も同39.88mに対し44.42mとボーイング707の方が大きくなっている。

つまり、C−135系=B717−100、C−137系=B707、ということで、このふたつの飛行機は容姿は似てても本来まったく別の系列機という位置づけだった。


さて、そんなボーイング717−100型機なのだが、結局1機も売れずに(売るつもりがなかったとも言えるが・・・)半世紀近く陽の目を見ない日々が続いた。



ボーイング717−200型機

旧マクダネルダクラスMD95型機のこと。

1995年に旧マクダネルダグラス社で開発がローンチされた。

1997年、経営難に陥っていた旧マクダネルダグラス社はボーイング社に吸収合併される。

開発中だったMD95型機はボーイング737型機とマーケットが重複する可能性が大きかったため、一時は開発中止も検討されたが結局開発は続行され、たまたま事実上の欠番となっていた"717”というモデルナンバーが割り当てられることになり、型式はマクダネルダグラスMD95型機からボーイング717−200型機に変更された。


しかし、やはりボーイング737型機と競合してしまう場面が多く、その上発注していた航空会社の経営不振や破産が続くという不運にも見舞われ販売数は伸びなかった。

そして、ついに今年(2006年)、生産中止となる予定である。

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ボーイング717−22A型機