ETOPS


ETOPS(Extended Range Operation with Two−Engine Airplane)とは、双発機(エンジンが2つある飛行機)の長距離洋上飛行を制限するFAA(アメリカ連邦航空局)の規定である。 2つあるエンジンのうち、1つのエンジンが洋上飛行中に停止した場合、残る1つのエンジンで着陸可能な空港まで安全にたどり着くまでの飛行時間を制限したものであり、通常は60分以内に着陸できなければならず、必然的に陸地に近いルートしか飛ぶことが許されていない。

この規定が制定された背景には、エンジンの信頼性が乏しかったことが影響している。 そのため、長距離飛行を目的とした航空機は3つ以上のエンジンを持つことが常識となっていた時代が長く続いた。

しかし、ジェットエンジンの信頼性が驚異的に向上した(その多くは使用する材質自体の進化の部分が大きかったが・・・)1980年代半ば以降、競争激化にあえぐ航空会社は、運航コストの低減のため、双発機の長距離洋上飛行を認めるよう、製造メーカー(ボーイング社)と共にFAAに迫る・・・。

当時、長距離機として大いに注目されていた最新鋭の欧州エアバス社A340型長距離機(エンジン4発搭載)に対抗するため、ボーイング777型機(エンジン双発)を長距離機として売り込みたい米国ボーイング社の強い要望もあり、当初60分間しか認められていなかったETOPSは、その後、機体やエンジンの信頼性向上と運航航空会社の実績などを鑑み、段階的に、ETOPS120(120分)、ETOPS180(180分)、ETOPS207(207分)と進化していった。

双発機が故障により偶発的に2つのエンジンとも停止する確率は、現在では無視できるところまできており、そのおかげで、双発機が長距離洋上飛行の制限を受ける場面は殆ど無くなってきている。

ETOPSの認定は、固有の機体、エンジン型式、運航航空会社の組み合わせに対して付与されるもので、たとえば、同じ機体型式、エンジン型式でも、運航航空会社が変われば、再度認定を取り直す必要がある。

ETOPSを取得した機体の表面には、その旨の記述がなされている。